【AI学習シリーズ】第4回~第二次AIブームとフレーム問題~
前回の記事では、1950年代から始まった第一次AIブームについて説明しました。
今回は、1980年代に起こった第二次AIブームについて説明していこうと思います。
第二次AIブームのはじまり
第一次AIブームが終わりを告げた1970年代、人々はAIの限界に落胆し、AIは「冬の時代」を迎えていました。
その時代のAIでは現実の問題を解くことはできませんでした。
せいぜい、数学の定理の証明、パズルを解くくらいしかできません。
これはコンピュータのスペック的にしょうがないことではあったのですが・・・。
しかし、10980年代、エキスパートシステムの登場によって、AIは新たな盛り上がりを見せることとなったのです。
そして研究者たちは、このエキスパートシステムこそが現実の問題を解く足掛かりになると考えました。
エキスパートシステムとは、専門家の知識をコンピュータに移植することにより、現実の複雑な問題を解こうとするものです。
例えば、専門医の知識をコンピュータに移植することで、患者がコンピュータからの質問に答えるだけで病名を特定できるというエキスパートシステムが作られました。
結構すごいシステムですよね!
確かにこれなら現実の問題を解決することができそうです!!
しかし、エキスパートシステムにも大きな問題がありました。
端的に言えば、エキスパートシステムはルールをため込んでいくシステムです。
つまり「このような状況だったら、こういう答えを返す」というルールをため込んでいくのです。
なので、教えていない例外的な事象には答えを返すことができません。
さらに、専門家の知識をたくさん詰め込んでいくと、互いに矛盾するルールも出てきてしまいます。
コンピュータは、教えられたことしかできない杓子定規なところがあるので、例外や矛盾には対応できず、そこでアルゴリズムがストップして、エラーとなってしまいます。
このエキスパートシステムも、例外だらけの現実の問題を解くまでには至りませんでした。
そしてAIはまた「冬の時代」を迎えることとなったのです。
フレーム問題
ここまでで第一次、第二次AIブームの概要を説明してきましたが、このどちらにおいてフレーム問題という汎用的なAIを実現させるための大きな壁が立ちはだかっていました。
さてフレーム問題とは、「AIが決められた枠組みの中でしか、問題を解決できない」という問題のことを指します。
第一次AIブーム「探索と推論の時代」には、トイプロブレムしか解けませんでしたし、エキスパートシステムでは、第一次AIブームよりも現実の問題解決に近づきましたが、結局詰め込まれた知識の中でしか問題を解決することができませんでした。
つまり第二次AIブームでも、「完全に決められた枠組みの中でしか、問題を解決できなかった」ということです。
ここで、フレーム問題に関連して、強いAI・弱いAIというAIの区分の話をしましょう。
まず、弱いAIとは、定義としては、ある用途に特化したAIのことです。
現在のAIもすべてはここに分類されます。
画像認識用のAIで、音声認識ができないように、汎用性がない専門性を持ったAIです。
逆に強いAIとは、それ一つで、画像認識も音声認識も自然言語処理も、何でもできてしますAIのことを指します。
一般的に想像する映画とかに登場する人工知能と呼ばれるものもこっちに分類されます。
映画で言うと、スカイネットやHAL9000などを想像していただければわかりやすいかと思います。
まとめ
結局エキスパートシステムでも、汎用的なAIを作ることができませんでした。
つまり、AIは決められた枠組みの中でしか問題を解決できなかったということです。
そしてそれは、現在に至っても変わってはいません。
しかし今、第三次AIブームを迎え、ディープラーニングという新しい技術がフレーム問題を解決できるのでは、と期待されています。
次回の記事では、最近話題のディープラーニングとはいったい何なのかということを解説していければと思います。