【AI学習シリーズ】第3回~第一次AIブームとその終焉~
前回・前々回と「AIの定義」、「AIの歴史の概要」についてまとめてきましたが、ここからは具体的なAIの歴史について、書いていこうと思います。
今回は人類史上初めてAIが盛り上がった時代、第一次AIブームについて説明していきます。
第一次AIブーム
これは意外と古く1950~1960年代にかけてのもので、「推論と探索の時代」と呼ばれています。
現在ではレジェンドと呼ばれる研究者が集まったダートマス会議が開催され、今日まで続くAIの歴史がスタートしたのです。「人工知能」という言葉が初めて使われたのも、このダートマス会議となります。
さて、では第一次AIブームを代表する「推論と探索」とは一体何なのでしょうか。
これは、パズルや迷路などの明確なスタートとゴールが決まっているゲームの中で、ゴールにたどり着く選択肢をコンピュータが選んでいくというものです。
これによって、人工知能は、
- パズルや迷路
- 数学の定理の証明
囲碁とチェスと将棋
余談ですが、アルファ碁というプログラムが、人間の棋士相手に勝ち越したのは記憶に新しいですが、アルファ碁の根幹にあるのもまた推論と探索です。
これでわかるように、過去のブームでおこなわれていた研究は、今でも連綿と続けられています。
このようなゲームでAIが人間を超えたとして有名な物としてなものといえば、ほかにチェスと将棋があります。
- チェス:1997年にIBMが開発した「DeepBlue」がチェスの世界王者相手に勝利
- 将棋:2013年に「ポナンザ」が世界最高峰のプレイヤーに勝利
ちなみに囲碁は、盤面の組み合わせがめちゃくちゃ多くて、10の360乗もあります。
これは、宇宙全体にある水素原子の数より多いのです。
ピンときますか?
大丈夫です。僕もピンと来てません。
チェス・将棋・囲碁に関しては盤面が多すぎて、それをすべて総当たりでコンピュータに探索させるのは無理なので、色々な方法が考案され、現在の強さにたどり着きました。
囲碁に関しては1962年に研究が始まったといわれていますから、50年以上の研究とコンピュータの性能の向上の結果、人間に勝利することができたというわけです。
推論と探索の問題点
話を戻しますが、この推論と探索には、大きな問題がありました。
それは、明確なスタート・ゴール・ルールが存在するゲーム世界でだけしか、人工知能が役に立たなかったということです。
つまり、現実の問題に対してはAIは無力でした。
この問題をトイプロブレムといいます。日本語では「おもちゃの問題」ですね。
また、今日AIに革命を起こすのではないかと大きな注目を集めているディープラーニングという技術があります。
実はその元となるパーセプトロンというアルゴリズムが、この時代すでに開発されていたんですね。
人間の脳のニューロンを模しているという点で、ディープラーニングと同一の技術でした。
しかし、あまりにニューロンが少なく、簡単な計算しかできないと問題があり、パーセプトロンの限界が露呈しました。
だったら、もっとニューロンを増やせばいいじゃんと思いますが、PCの性能の低さによって、改良を断念せざるを得なかったのです。
まだ家庭用のコンピュータもないような時代でしたから・・・。
このようにAIの発展の歴史は、ハードの発展の歴史と同期している部分もあるんですねー。
まとめ
- トイプロブレムが解決できない
- パーセプトロンの限界が露呈